フォーマット変換の戦略 2025 — WebP/AVIF/JPEG/PNG を使い分ける指針
公開: 2025年9月18日 · 読了目安: 2 分 · 著者: Unified Image Tools 編集部
はじめに
正しいフォーマット選択は、容量と再現性の両立に直結します。写真は WebP/AVIF、UI/ロゴは PNG/ロスレス WebP が基本線ですが、例外の見極めと運用の自動化がスケールの鍵です。本稿は「決定木 → 実装 → 例外管理」の順でまとめます。
決定木(実務チートシート)
透過が必要?
├─ はい → PNG / ロスレス WebP
│ └─ 小さなアイコン → SVG を最優先で検討
└─ いいえ → 写真系?
├─ はい → AVIF を試験 → 破綻があれば WebP
└─ いいえ(図/テキスト/UI) → WebP(ロスレス/高品質) or PNG
補助軸として「再現性と設備」を見ます。色管理は sRGB を既定にし、例外だけ P3 を併用(詳細は 正しいカラー管理とICCプロファイル戦略 2025 ─ Web画像の色再現を安定させる実践ガイド)。
サンプル実装(Node.js / sharp)
ワンパス原則でマスターから派生を生成します。再圧縮の連鎖は避けてください。
import sharp from 'sharp'
type Kind = 'photo' | 'ui' | 'logo'
export async function convert(input: string, kind: Kind, outBase: string) {
const src = sharp(input).withMetadata({ icc: 'sRGB' }).toColorspace('srgb')
if (kind === 'photo') {
// まず AVIF を試す。肌/グラデーションで破綻が出る場合は q を上げるか WebP に切り替え
await src.avif({ quality: 58, effort: 4 }).toFile(`${outBase}.avif`)
await src.webp({ quality: 78 }).toFile(`${outBase}.webp`)
} else if (kind === 'ui') {
// UI/テキストはリング/ブロックノイズが目立ちやすい
await src.webp({ quality: 90, lossless: false }).toFile(`${outBase}.webp`)
await src.png({ compressionLevel: 9 }).toFile(`${outBase}.png`)
} else {
// ロゴ等はロスレス優先
await src.webp({ lossless: true }).toFile(`${outBase}.webp`)
await src.png({ compressionLevel: 9 }).toFile(`${outBase}.png`)
}
}
互換性とフォールバック
現行の主要ブラウザは WebP/AVIF に広く対応していますが、長期運用ではフォールバック戦略が保険になります。
<picture>
<source type="image/avif" srcset="/img/hero.avif" />
<source type="image/webp" srcset="/img/hero.webp" />
<img src="/img/hero.jpg" width="1600" height="900" alt="" />
<!-- JPEG は最後の保険として最小限に -->
<!-- sizes/srcset は別記事参照: /ja/articles/responsive-images-srcset-sizes-2025 -->
<!-- レイアウトからの上限幅設計は: /ja/articles/resizing-right-size-workflows-2025 -->
<!-- 圧縮の基本戦略は: /ja/articles/ultimate-image-compression-strategy-2025 -->
<!-- 色の扱いは: /ja/articles/image-color-management-2025 -->
<!-- メタデータの扱いは: /ja/articles/safe-metadata-policy-2025 -->
</picture>
Next.js の <Image>
を使う場合は、sizes
をレイアウトに合わせるのが最重要です(2025年のレスポンシブ画像設計 — srcset/sizes 実践ガイド)。
品質の見極めポイント
- 写真: 肌・空・グラデーションに着目。AVIF q を 45→58→62 と段階確認し、バンディングやブロックが残るなら WebP に切替。
- UI/図: 細い線や文字のにじみ/リングに注目。ロスレス優先、あるいは WebP 高品質。
- 透過: PNG は 8bit パレット化が効くケースあり。不可逆で破綻するならロスレス。
PNG 最適化の現実解
同じ PNG でも無駄なチャンクやガンマでサイズが膨らみます。ロスレス最適化と、可能なら 8bit/パレット化を試します。小物は SVG 化が最優先です。
大量の PNG を扱うときは、変換時に必要なメタだけを保持する設計が安全です(位置情報やサムネ埋め込みは不要)。詳細は 安全なメタデータ方針 2025 — EXIF 削除・自動回転・プライバシー保護の実務。
よくある落とし穴
- 変換前にリサイズを忘れる(面積が支配項)→ 先に 2025年のリサイズ設計 — レイアウトから逆算して 30–70% の無駄を削る
- 再圧縮チェーン(画質崩壊)→ マスターからワンパス
- ICC を無自覚にストリップ → 色再現が崩れる(正しいカラー管理とICCプロファイル戦略 2025 ─ Web画像の色再現を安定させる実践ガイド)
- AVIF を盲信して UI に適用 → 文字エッジが崩壊
テストマトリクス(品質検証)
- 写真: 肌/空/グラデーション/木目/夜景 で AVIF/WebP/JPEG を比較(q 段階 45/58/62)
- UI/テキスト: 細線/小文字/斜体/縁取りで WebP lossless/高品質/PNG を比較
- 透明: 半透明/影/アウトラインの階調が破綻しないか確認
PNG 最適化の深掘り
- パレット 8bit 化(減色)は視覚差が出にくい範囲で段階的に試す
- メタ削除でサイズ削減(位置情報/サムネイルは不要)
- ロスレス WebP との二者択一は、転送量と描画速度で比較して決定
よくある質問(FAQ)
- Q. まず AVIF を選ぶべき?
- A. 写真では第一候補ですが、肌やグラデで破綻が残るケースもあります。段階的に q を上げ、難しい場合は WebP に切り替えます。
- Q. UI で AVIF は?
- A. 文字エッジや細線で破綻が目立つため、推奨しません。WebP 高品質 or PNG が安全です。
- Q.
picture
は常に必要?- A. 互換や保険のために有効ですが、Next.js
<Image>
ではsizes
を正しく書くことの方が効果が大きい場面も多いです。
- A. 互換や保険のために有効ですが、Next.js
デプロイと配信の注意
- 変換はマスター→派生のワンパスを厳守(再圧縮の連鎖を避ける)
Content-Type
やVary
ヘッダの適正化(CDN キャッシュの分割ミスを防止)Accept
ヘッダでのネゴシエーションを使う場合は、ログでヒット率を監視- 画像の幅/高さを明示して CLS を抑制。
sizes
設計と合わせて過配信を防ぐ
トラブルシュート
- 文字が滲む → AVIF/WebP の品質を段階的に上げる or PNG/WebP ロスレスへ
- 肌やグラデが汚れる → AVIF の品質と effort を調整、厳しい場合は WebP に切替
- 透明影がギザつく → PNG か WebP ロスレスで再出力。8bit パレットの段階を調整
まとめ
- 透過とコンテンツ種別で枝分かれ、2) sRGB 正規化 → マスターからのワンパス変換、3)
picture
/<Image>
で安全に配信、4) 品質はテストマトリクスと実測で確認。ここまで固めれば、残りはチューニングです。続いてsizes/srcset
の設計へ: 2025年のレスポンシブ画像設計 — srcset/sizes 実践ガイド。
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