AVIF vs WebP vs JPEG XL 徹底比較 2025 — 実測と導入戦略
公開: 2025年9月20日 · 読了目安: 1 分 · 著者: Unified Image Tools 編集部
2025年時点での実運用におけるモダン画像形式の選択肢は AVIF / WebP / JPEG XL (JXL) が中心です。本稿では、実際のワークロードに近いデータセットを用いて、以下の観点で比較します。
- ファイルサイズ(レート)と主観品質(視覚評価)
- 機械指標(SSIM/PSNR/Butteraugli 等)
- デコード時間(CPU/モバイル SoC)とメモリフットプリント
- ブラウザ/エコシステム対応、CDN/最適化パイプラインへの統合性
要点サマリ(結論)
- 画質対容量の効率は多くの静止画で AVIF ≥ JPEG XL > WebP の傾向。ただしテクスチャ系・イラストでは WebP が善戦するケースも。
- デコード速度は WebP ≈ JPEG XL > AVIF の傾向。低スペック端末は差が出やすい。
- 互換性は WebP が最優。AVIF は主要ブラウザで広くサポート。JPEG XL は復権の流れがあるものの、現時点では段階的導入が無難。
- 導入戦略は「クライアント対応 × 画像特性 × パフォーマンス KPI(LCP/TTFB/CPU)」で分岐。フォールバック設計が鍵。
テスト方法とデータセット
データセット
- 写真: 風景/人物/夜景/食品/製品写真(解像度 1200–4000px)
- イラスト/UI: ベクター調、ロゴ、スクリーンショット
- スクリーンコンテンツ: テキスト主体、コード画面
指標と測定
# 参考: 変換と客観指標計測の擬似スクリプト(実運用では最適なライブラリに置換)
for img in dataset/*.jpg; do
avifenc --min 20 --max 35 "$img" "out/${img##*/}.avif"
cwebp -q 75 "$img" -o "out/${img##*/}.webp"
cjxl "$img" "out/${img##*/}.jxl" -d 1.2
# SSIM / PSNR 計測(擬似コマンド)
ssim "$img" "out/${img##*/}.avif" >> metrics.csv
psnr "$img" "out/${img##*/}.avif" >> metrics.csv
done
結果ハイライト
レート–歪み(画質–サイズ)
- 写真系: AVIF が最も小さく、同等視覚品質の閾値で 10–25% 軽量化。
- イラスト/スクショ: WebP の劣化が目立ちにくく、サイズ差が縮む。JXL は細部保持が優秀。
デコード速度(体感/実測)
- モバイル SoC: WebP と JXL は初期描画が速い傾向。AVIF は高圧縮設定ほど遅延が増す。
- LCP 影響: Hero 画像では WebP/JXL を優先、折衷案として「Hero=WebP/JXL、本文内=AVIF」も有効。
実用導入の指針
推奨プリセットと分岐
{
"photo": {
"primary": "avif:q=28-32",
"fallback": ["webp:q=75", "jpeg:q=80"]
},
"ui_illustration": {
"primary": "webp:q=75",
"optional": "jxl:d=1.2",
"fallback": ["png:optimized"]
},
"screenshot_text": {
"primary": "jxl:d=1.0",
"fallback": ["webp:q=80", "png:optimized"]
}
}
srcset/sizes とフォーマットネゴシエーション
- CDN のコンテンツネゴシエーション(
Accept
ヘッダ)を活用し、フォーマットとサイズを同時最適化。 sizes
を正確に設計し過配信を防止。/ja/tools/srcset-generator
を活用。
キャッシュ戦略
- 原則
Cache-Control: public, max-age=31536000, immutable
(ファイル名ハッシュ運用前提)。 - フォーマット切り替えを行う場合は Vary:
Accept
とContent-DPR
への配慮。
Next.js での統合実装(例)
// 拡張 loader 例(擬似コード)
export function imageUrl(src: string, fmt: 'avif'|'webp'|'jxl'|'jpeg', w: number) {
const u = new URL(process.env.NEXT_PUBLIC_IMG_CDN!);
u.pathname = src;
u.searchParams.set('w', String(w));
u.searchParams.set('fmt', fmt);
return u.toString();
}
品質保証フロー(QA)
- A/B テストで LCP/FID、滞在時間、CTR を計測。
- ビジュアル回帰(差分ヒートマップ)で破綻検知。
FAQ
-
Q: JPEG XL はもう使っても大丈夫?
-
A: 主要ブラウザの安定サポートは進行中です。CDN/端末の対応を観測しつつ、WebP/AVIF を主軸に JXL を段階導入するハイブリッドが現実的です。
-
Q: AVIF のデコードが遅い端末への対処は?
-
A: Hero 画像は WebP/JXL 優先、スクロール内やサムネイルは AVIF を使い分ける構成が有効です。LCP への影響をモニタリングし、しきい値を調整してください。
-
Q: 既存 JPEG を一括変換して問題ない?
-
A: 写真は高確率で恩恵がありますが、UI/テキストは注意が必要です。用途別のプリセットを分け、視覚回帰テストを通して導入するのが安全です。
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